2009.11.15
B.G.M 3
part 3です。
僕の音楽体験の中で最も衝撃的で、後の人生に影響を与えたアーティスト、ニルヴァーナです。
14歳での、最も多感な時の出会いです。
91年、音楽シーンのゴミの時代と言われた80年代がまだ後を引く世界に突如、ニルヴァーナは現れた。
産業音楽が慢延する音楽シーンに、ひっそりリリースされたアルバム 「ネバーマインド」 は、いつしかチャートのトップに君臨するマイケル ジャクソンの 「デンジャラス」 を蹴落とす事となる。
音楽がビジネスから再び魂を取り戻した歴史的瞬間だった。
ニルヴァーナのヴォーカリスト。 カート・コバーンの音楽は、痛々しい程に、あまりにリアルだった。あまりに繊細だった。若者が世界の真意を目の当たりにした。
ニルヴァーナが表現していたのは、世界がどれほど病んでいるのか、腐っているのか。
その世界に平然と暮らす自分は、一体どれほどの価値があるのか?
ということを、ひたすら聞き手に叩き付けた。
「オレは自分がキライだ、死にたい。」
と言う曲を作ってしまう程、救いのない音楽だった。
僕はすべての物がウソ臭く見えるようになった。すべてがグレーに見えた。世界の本質が見えてしまった気がした。
しかし、ニルヴァーナが残した最後のアルバムの、最後の曲の、最後の1行が、全てを覆す。
「 俺達は、何者にも勝るかけがえのない存在 」
こんなありきたりな言葉が、こんなにも感動的に響く瞬間があるだろうか?
この言葉に心を動かされない人間など信用できない。とすら思ってしまう。
その後、カートは自らの手によって命を絶ってしまう。
「 徐々に色褪せるより、燃え尽きるほうがいいんだ 」
というメッセージを残して。
でもカート、やっぱり死んじゃだめだよ。