2011.05.04

もう一つのフィギュア

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出世払いは「これ以上出世の見込みが無ければ、その時点で全額返済の義務が生じる」(大審院大正4年3月24日判決)を見て、法律学のシビアな現実主義にはっとした法学部生はきっと多いと思う。岩永です。

感動的に終わったフィギュアスケート。

しかし、残念なことに裏に隠されてしまったもう一つの感動物語があった。

私達は知らされなかった。何も知らないままに通り過ぎるとこだった。

こういうことがあるから「テレビ報道の終焉」とか言われる。

日本人として非常に申し訳ないし、残念に思う。

心が痛まないのかと、、

長いですが、是非知っておいて欲しい。

『フィギュアスケート世界選手を放送したフジテレビの酷さ』

フィギュアスケート世界選手権。

本来は東京開催だったけれど、震災の影響で開催不能に。

そのため、1ヶ月遅れでロシアでの開催となった。

この世界選手権で、代替開催国となったロシアは、 わずか1ヶ月という準備期間にも関わらず、あらゆる面で日本に多大な配慮をしてくれている。

自国開催を楽しみにしていた日本国民がテレビで中継を楽しめるようにと、日本時間のゴールデンタイムに合わせて開会。

開会式では日本を、被災地を応援する演出。

そしてフィナーレでは、日本選手を中心に、日の丸を描いて各国の選手が輪になって、日本を励ますパフォーマンス。

選手たちも、随所に日本へのメッセージを伝えてくれた。

アモディオ選手は、減点対象となるボーカル入りの曲をあえて使用。

「これは日本の人たちへのささやかな歌のプレゼントだ」と。

たくさんの選手たちが、応援席の観客が、日本への応援をくれた。

エキシビションに祈りを込めた選手たちもいた。

そして、グランドフィナーレ。
ロシアのフィギュアスケート連盟から、日本への詩のメッセージが送られた。

全文をネットで見ることができる。

「日本にささげる詩」

地球がいたみでうめき声を発した

自然の強さに全世界がショックをうけ

あらゆるものを水は深海に流した

しかし 何があっても太陽は東から昇る

地震と津波は光には勝てない

我々の神様が 地球の皆の命を保ってくれることを祈る

桜が咲く公園はたくさんあることを

白樺が咲く公園はたくさんあることを

鳥が春の歌を歌えることを

旗が勝利の祝いで挙げられることを祈る

子供たちが大人たちへと願う
友の皆さん 手をつないで

われわれがこの地球において
ひとつの家族になっていることを忘れないでほしい

ところが。

ロシアからの、こんな温かなメッセージは、 しかしほとんどの日本国民には届いていない。

独占中継したフジテレビは、このメッセージを放送しなかった。

時間切れじゃない。

そもそも、ロシアがせっかくゴールデンタイムに合わせて開催してくれているのに。

フジテレビの放送は、19時から始まって、最初の1時間以上はひたすら前日の振り返りVTRとキムヨナの特集。

リアルタイムではなく遅らせて放送した上に、何故か演技順序を入れ換えて放送。

日本選手のエキシビションがようやく放送されたのは、TBSでJINが始まった頃。

さらに延長放送になったため、金メダルの安藤美姫選手の涙のレクイエムを録画できなかった人がたくさんいる。

そして、フィナーレでの各国選手からの応援も、ロシアからのメッセージも放送されなかった。

さらには、安藤美姫選手はロシア語でお礼を述べ、そのあと日本の現状を英語で伝えたそうですが、、

当然そんなこともフジでは放送されませんでした。

これは時間切れなんかじゃない。

インタビューやCGや、ましてやスタジオの感想など放送する余裕があるのだから。

意図的に流さなかったとしか思えない。

完全生中継をした有料放送を見たたくさんの視聴者がTwitterにリアルタイムに情報を流した。

それを見比べると、フジテレビがどれだけ放送をカットし、どれだけの世界からの応援メッセージを伝えなかったかがよくわかる。

世界中の好意を踏みにじっておいて、自分たちの視聴率稼ぎのことしか頭にないとしたら、 公共の電波を預かるメディアとして最低だ。