2011.05.16
ブレることの無い「夢の王国」

『傷つきやすいだけの人なんていない。
傷つきやすい人に内在するトゲは、必ず摩擦を起こして他人を傷つけている。
「人に迷惑をかけない限り繊細でいいじゃないですか」っていうけど、自分に対して許せないことを他人に心から許せるわけがないのです。
だからまず、自分をゆるすことから始めないといけない。』いい言葉。岩永です。
やっぱりすごいなディズニーランド。
全スタッフが、それぞれに自分で考え、判断し、実践する。
それぞれがバラバラな自由ではなく、「夢の王国」が持つ意思に向かう自由。
向かうべき道のある制限された自由。
アンセムのテーマにも「自分で考え、判断する」というものがあります。
「やっぱりディズニーランドはすごいなぁ」では終われない。
本気で追いかけようとしないとダメなんだなと。
そして、どんな状況になっても決してブレることの無い「夢の王国」
ブレない事はシンドい事、ブレることはたやすい事。
ブレない人は頑固な人。
「ブレない」コトは、あらゆるリスクの中でも、どんな反対の中でも、大切なものを頑固に貫くコト。
楽な方へと流されないコト、自分のルールを守るコト。
半分ほどに省略していますが、長いです。
仕事を持つ人にはオススメの良記事。
『3.11もブレなかった東京ディズニーランドの優先順位
(そしてユッケ事故を起こした焼き肉チェーンが忘れていたこと)』
TDRの社長以下スタッフ、そして現場のキャストたちが、地震発生直後から翌朝までにどのように行動したかを、5月8日(日)放送のフジテレビ系列『Mr.サンデー』が取り上げていた。
その場にいたゲストたちのビデオカメラやデジカメによる実写も交え、当日の様子がリアルに伝わってくる。
その中で10代から20代を中心としたアルバイトスタッフたちが、7倍もの人数のお客様に対処し、落ち着いて対応している姿に、私は改めてTDRという組織のすごさを思い知らされた。
SCSE(エス・シー・エス・イー)と呼ばれる。
「Safety(安全)」「Courtesy(礼儀正しさ)」「Show(ショー)」「Efficiency(効率)」
ディズニーランドといえば、一般的にはショーのイメージが強いだろうが、彼らが最も大切にしていることはゲストの安全だ。
アルバイト歴5年のキャストHさんは、当日のことを思い出す。
「(店舗で販売用に置いていたぬいぐるみの)ダッフィーを持ち出して、お客様に“これで頭を守ってください”と言ってお渡ししました」
彼女は会社から、お客様の安全確保のためには、園内の使えるものは何でも使ってよいと聞いていた。
そこで、ぬいぐるみを防災ずきん代わりにしようと考えたという。
同じくキャストのIさんは、店舗で販売していたクッキーやチョコレートを無料で配り始めた。
「必ずみなさんにお配りしますから、その場でお立ちにならないでお待ちください」
と声を掛けながら。
「お客様から配ってくださいと言われたわけではなくて、時間もたって私もお腹が減ってきていたし、ゲストのみなさんはもっとお腹が減っているだろうと思ったので」
TDRにもマニュアルはあるが、現場の状況もゲストのニーズも刻々と変化する。
ましてや事は震災だ。
マニュアルですべてをカバーすることなど不可能だし、マニュアルから似たケースをチョイスしてもそれが適切とは限らない。
だからこそ行動規準が必要なのだ。
今となれば、場面場面では、もっとより良い判断や行動があったのかもしれない。
けれどもTDRでは、「会社として大切にするべきことと優先順位」にさえ沿っていれば、現場の一人ひとりに判断を任せている。
読者のみなさんの中には、「お客様の安全にかかわるような重要な判断をアルバイトにさせるなんて、恐ろしくてできない」という人もいらっしゃるだろう。
アルバイトか正社員かはさておき、現場には入社したての新人だっている。それはTDRも同じだ。怖いに決まっている。
ではどうするのか。
判断させず、いちいち上からの指示を待てと命令するのか。
TDRはアルバイトだけでなく、自社の従業員ではない派遣社員にさえも十分な研修を受けさせ、OJTでの訓練も欠かさない。
現場で判断できるに十分な準備や、万が一にも対応できるチーム体制を用意したうえで、判断させる。
現場はチームで動いているので、もしも個人の判断が明らかに間違っていれば、隣にいる仲間や先輩が修正してくれる。
判断が不安なら、その時は、先輩や上司に相談すればいい。
彼らは「もっとこうした方が良くなるんじゃないか」といったアドバイスをくれる。
そしてもう一つ大切なことがある。
行動規準に沿った判断、行動である限り、上からしかられることはない。
むしろゲストのためになることであれば褒めてもらえる。
だからこそ、新人であっても積極的に自分で考えることができるのだ。
逆に、普段から「勝手に判断するな、上司の承認を取れ」と言われていたり、「この程度の発想か、もっと頭を使え」としかられていたらどうだろう。
あるいは頑張っても褒めてももらえなかったらどうだろう。
しかられると思えば萎縮してしまうだろうし、褒められるとうれしくなって頑張ってしまう。
何も特別な話ではない、人間誰しも働くうえではそういうものではないだろうか。
夜の帳(とばり)が下りてきた。
スタッフたちは、ゲストが家にたどり着けるよう、一部動き始めた電車の運行最新状況を張り出し続けた。
それでも自宅に帰れない“帰宅難民者”約2万人が園内に残っていた。冷え込みは厳しくなるばかりだ。
建物の安全確認が先に終わったのはディズニーシーの方だった。
ディズニーランドにいるゲストたちを一刻も早く建物の中に入れてあげたい。
しかしシーに移動するための一般通路は大きく回り込んでいる。
しかも通りでは液状化現象が進んでおり、暗闇の中を移動するには危険がある。
そこでTDRの幹部は開園以来28年間守ってきた「禁」を破る決断をした。
バックヤードという従業員だけが利用する通路にゲストを通して、より短距離で安全にシーに誘導することにしたのだ。
『夢の王国』のイメージを壊してしまうことになるかもしれない。それでもゲストの安全確保のために、彼らは決断したのだ。
統括本部で指揮を執っていた同社の阪本さんは、「これまでは決してしなかったことですね。『夢の王国』のバックが見えてしまいますので」と説明した。
多くのゲストのためにバックヤードを開くという決断はこの時が初めてだったのだろう。
しかしTDRは個別にはこのルールを破ることがあると聞く。それはけが人が出た時だ。
園内には応急処置ができる施設があるが、すぐに病院で診てもらった方がいいと判断した際は、バックヤードに待たせたクルマで素早くゲストを病院に案内する。
家族が転んでけがをしたあるゲストは、案内されて病院に行ったところ既にTDRから正確な連絡が入っていることに驚いたという。
けがは大したことがなかったので園内に戻ろうと再入場ゲートに戻ってきたところ、ゲートにいたキャストから「おけがは大丈夫でしたか」と声を掛けられ、またまたびっくりしたそうだ。
先日来、焼き肉チェーン「焼肉酒家えびす」勘坂康弘社長は次のように訴えた。
「法律で生食用というか、普通の精肉をユッケとして出しているのをすべて禁止すればいい、すべきだと思います。禁止していただきたいと思います」
同社のホームページ(HP)は、現在(5月15日現在)トップページ以外見られないが、最近まで新卒求人サイトに次のような3つのビジョンを掲げていた。
1 店長の年収日本一 現在は550万円以上 近い将来は1000万円を目指す。
2 接客サービスで日本一 愛と感動のある「えびすストーリー」を実現。
3 商品力で日本一 超お値打ち価格の実現 市場価格の2分の1を目指す。
ある老舗飲食店の経営者が、自社を訪れた学生に、社名を隠して上の企業理念をどう思うか聞いてみたそうだ。
共感する学生もいるだろうと想像していたが、彼らから返ってきた答えは、「給料で釣っているみたいで、どうも好きになれない」というものばかりだった。
同社は、恐らく低価格で伸びてきた成功体験から、優先順位を間違ってしまったのだろう。
従業員の給与を優先し、低価格路線でありながら利益も出そうとすれば、おのずと何かが犠牲になってしまう。
事故は偶然ではなく、起こるべくして起こったのだと思う。被害者の方には、心からお見舞いを申し上げる。
家族3人で来園していたゲストは、「考えてみれば、キャストも我々も同じ被災者なんですよね。
それなのにキャストのみなさんは全然嫌な顔をするどころか、ずっと笑顔だったんですよ」と話した。
家族4人で一夜を明かした別のゲストは、「(キャストのみなさんが)すごく頑張っていたから、何だかとても信頼できました。ありがとうって伝えたかった」と声をうるませた。
私もキャストたちのプロ意識に感動した。
彼らは誇りを持って働いている。
アルバイトか正社員かどうかは、プロ意識においては関係ない。
本人次第であり、その意識は会社が彼らに寄せる期待と信頼によっても生まれている。
TDRはキャストに対して一方的に期待と信頼を寄せているわけではない。
彼らが自ら判断し、行動できる前提を用意している。
「会社として大切にするべきことと優先順位」=行動規準を明確に示し、十分な研修を実施して、一人ひとりが判断し行動することを推進している。
そして行動規準に沿った判断、行動であればしからないどころか、ゲストのためになるなら積極的に褒める。だからこそ、現場は行動規準を信じて判断、行動することができる。
震災に遭っても会社の掲げる「安全第一」を全員で実現しようとした東京ディズニーリゾート、片や安全を後回しにしてしまった焼肉酒家えびす。
TDRが実践したことは、決して魔法ではないし、従業員が特別だったからでもない。
企業はトップと会社の姿勢によって、顧客から尊敬され「また行きたくなる」場所になることもあれば、悲劇とともに「二度と行きたくない」場所になることもある。
私たちはそれを忘れてはならない。