2011.05.23

それぞれの事情

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『落ち込むとブルーになるけど、青は「進め」の色だよ』破壊力ある言葉。岩永です。

知的障害者の妹、60代の両親と暮らす20代女性のブログ。

不快に思われる方もいらっしゃるとは思いますが、

不安を抱えているのは被災者だけではないという当たり前のコトを再確認。

絶対的な公平は在り得ない中で、それでもみんな頑張ってるのか。

人にはそれぞれ事情があり、どんな事情も当事者にしか理解は無理なんだなと。

家族に迷惑をかける人と、家族に迷惑をかけられる人か…

自己中心的だと自覚しながらも、逃げ出したいと。

コレはちょっとズシリとくるな。。

でも、青は「進め」なんだよ。

『どう考えてもこの先、素敵な未来なんかない』

妹が知的障害者。

たしか障害者手帳は一級だった。

両親は六十代前半、私は二十代前半。妹は3つ下だ。 
  

朝、母の怒鳴り声がうるさい。
妹が着替えないからだ。

服を手にしてから1時間はかかる。

「迎えの人来ちゃうから、早く着替えなさい!」

「◯◯、はやく!」

「着替えなさいって、何度言ってるの!」

「何でまたトイレに行くの。さっきも行ったでしょ!」

妹は全裸に近い状態のまま、持った服をパンパンと叩いたり、唾をつけたりする。

ぶよぶよと太った身体が醜くて、汚らしくてうんざりする。
 

トイレに行くと、やたらとトイレットペーパーを使う。

ひどいときは1ロールなくなる。

「かみ、かみ」

と妹が呼ぶと母が新しいロールをセットしにいく。

「そんなに拭かんでいい!」

「どうせおしっこもちょっとしか出んだろ!」

また母がわあわあと怒り出す。
毎回、妹はトイレの電気を消しているんだけど、何故か実家ではトイレの電気を消さないルールになっているので、

「なんでいちいち電気を消すの!消すなって言ってわからんか!」

と、また怒鳴る。  
 

作業所から迎えの人が来る。

まだ着替え終わっていないので、母が毎度、

「まだ着替え終わってないんよ。今日も1時間かかった」

などと話をする。

だいたい毎日同じことを話している。

男の人の職員のときもある。

何となくそれをストレスに感じる。

私の部屋は玄関のすぐ横だし、築三十年以上経っている実家は壁が薄い。

毎朝とてもうるさい。
 

母は高血圧で薬を貰っている。

頼むから怒ったり興奮しないで
くれと私が何度言ってもダメ。

思うに、母も軽度だが障害があるのではないか。

吃音はともかく、話した内容を汲みとってもらえない、デリカシーがない、テーブルの上に空き缶があったり、剥がした湿布があったり、洗濯物は畳めず積み重ねてあるなど。
 

父は昭和の頑固で偏屈な父親と言う感じで、機嫌が悪いと物凄く態度に出る。

テレビを引っくり返されたり、携帯を真っ二つに折られたこともあった。

妹を可愛がったこと記憶が私の中に全く無い。

「俺の前でメシを食うな」

と今でも妹だけ別。

一時期は妹が何かする度怒鳴ったり殴っていた。
 

そんな家族との生活にすごくすごく疲れてしまった。

18才から21才まで、私は他県で自立していたのだが、仕事の都合で実家へ戻ってきて、数年。

こんなにも私の家族は変だったのだと、やっと気がついた。

せめて出ていければいいが、現在経済的に厳しく、一人暮らしは当分出来ない。

もし出て行ったとして、家族であることは変わらない。
 

私は、両親の介護が怖い。
 
晩婚で、私は父が40才のときの子どもだ。

周りの同級生たちの両親よりも老けている。
 
介護しなければいけなくなる頃、私はまだ若いだろう。

結婚を考えるとき、それが足枷になるかもしれない。
 

私は、妹の世話が怖い。
 
両親はきっと、妹を遺して死んでしまう。

妹は偏食だけれど今のところ健康で、そして私よりも年下だ。
 
私は、妹を引き取らなければいけないのだろうか?

姉には保護責任があるのだろうか?
 

怖い。怖い怖い怖い。

自分の将来だってまだ何の足場も出来ていない、そしてまだ楽しみたい。楽をしたい。

今から貯蓄を少しずつするにしても、何故私が今そのために我慢しなければいけないのか?

周りの子たちは「若い」と言われる間、人生を楽しむだろう。

自分のためにお金を使うだろう。

何故、高齢の両親の元に生まれ、障害者の妹がいるという不運のために、私がそれをしてはいけないのか。
 

しょうがない。分かっている。

いや、分かりたくない。

我儘で自己中心的だということは分かっている。
 

でも、私は逃げ出したい。