2011.05.25

おじいちゃんのヒーロー

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一冊80万円の「図書館写真集」だと。岩永です。

以前にも少し触れた60歳以上の高齢者ボランティアの「原発の収束部隊」。

日本の高度成長を支えてきた技術者達が、再び立ち上がろうとしている。

「将来のある若い人が被爆してはいけない。高齢者であれば将来的にガンの発生率が上がっても影響は少ない」

WEB上での呼びかけに賛同した志願者は現在161名。

皆が何がしかのスペシャリストなんだとか。

「我々は反原発でも、原発推進でもない。

負の遺産を残してはいけない。

ただ原発の収束のために集まった」

何かを主張するわけではない、危険を省みず、ただ行動するという正義の味方。

『「負の遺産は残さない」原発暴発阻止に立ち上がった60歳以上の元技術者達』

ビルトインされた冷却装置を直そうというのは、作った者の発想。

上手く行かないだろうと判断した。

外付けの冷却装置を至急設計して設置する体制を作らねばと。

塩谷:決して、「決死隊」でも「特攻隊」でもない。

純粋に利害を離れて、この事故を収集させるために集まった集団である。

いろいろな技能を持った人が集まった。

皆何か、特殊な技能を持っている。

重機のスペシャリストや建築のプロ、壁の色や状態で危険度を判断できる人材。

机の上で育ってきた人とは、違う力を持っている。

私自身が思っているのは、(今回の原発事故は)技術が生んだ事故。

神様が与えたわけじゃない。天罰でもない。

技術が生んだのだから、技術が直せ。それが、研究者の責任だと思う。

原子力の先生方が「我々の判断が甘かった」と認めるのは偉いことだが、それより現場で一緒に行動しましょう。

その後もいろんな先生がいろんなコメントを出しているが、実際に現場で作業するわけではない。

そこが我々とは違うのかなと。

技術で作った物は技術で押さえるという原点に立ち戻る。

組織に属していれば行動規範がある。

身軽に動けない。

働き盛りの40代や50代は(プロジェクトに参加することは)まず不可能。

原子力学会にもシニア会員は沢山いる。

もう少しアクティブに参加するべきだと思う。

(学会の人は)今まで、原発推進で旗を振ってきた方が大部分。

いまさら、自分達の失敗の火消しをやるという発想は厳しいのかなとも。

:政府・東電の対応で、問題だったと思う点、不安に思っている点は?

塩谷:東電も東芝も、多分、事故後の状態ではベストは尽くしているんだと思う。

津波対策をしていなかったことは別として。

被害のデータは取れなかったのかもしれない。

でも米軍は無人偵察機でしっかりデータを取り、対策を始めた。官邸にも(放射能漏れの)データは来たはず。

しかし、どこがどう汚染されたのか、公表しなかった。

それが分かれば自主的に避難もできた。

原発というのは、国家機密、企業機密の塊。

政府にしろ東電・東芝にしろ、できるだけ、データは出したくない。

安全保障の問題がある。

原発はテロの標的になる可能性がある。

原発自体は多少のミサイルには耐える。

しかし、使用済み核燃料プールが無防備であることが分かった。

あそこは弱い。これはとんでもない情報が出たことになる。

それ以上に、沢山の人が原発に行き、作業をするという事は、被害状況が分かる。

どこを狙えばいいのか分かってしまう。

現に、非常電源がどこに配置されたかは報道されない。

一台はダミーで見せるが、電源車の配置場所も秘密。

それだけ気を使いながら現場は仕事をしている。

それは承知しているが、冷温停止に向けての情報・工程は具体的に出して行かないと、不安に思うのではないか。

佐々木:日本は原爆被爆国から原発加害国になりつつある。

私たちと同じ思いを、今の人たちにさせたくない。

原発に賛成だったわけじゃないけど、その恩恵にあずかってきた。

その責任がある。負の遺産を残してはいけない。

取材後、「私達は、反原発でも、原発推進でもない。とにかく、事故を収拾するために集まったのだ。」

と言っていた。

確かに、エネルギー政策の議論をする前に、原発を止めなければ話にならない。