2011.06.25

グローバル化って?

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タイの水族館に展示されている、魚が泳ぐスゴい車。岩永です。

古き良き時代の生活、ブータンのように、質素に、昔のように生きていけばいい。

などとは幻想だし、グローバリゼーションの本質を理解していないのではと。

グローバル化に選択の余地はなく、否応なしにやってくるモノだし、

「そんな難しいことは自分には関係ないし」

と、思っているあなたも、グローバリゼーションを支えてる一人であるわけで、

ならば、せめてその自覚だけは持っていなくてはいけない。

その上での、

じゃあ、どうするか?

『ローカルに逃げても、グローバリゼーションからは逃げられない』
(「はてなダイアリー・狐の王国」から)

武田鉄矢

「当たる要素のない映画を語る」

という記事。

これを見て思い出したのが、埼玉の田舎にアメリカがあるというお話。

グローバリゼーションの波に流された結果、

「その街にしかないもの」

が消えたという話。

「その街にしかないもの」

を持ってる街は強い、という話。

これ自体は間違ってない。

だが否応無くやってくるグローバル化から目を逸していい話でもない。

タイの物価は地味に上がり続けている。

タクシーも初乗り35バーツは変わってないが、35バーツで行ける距離は短くなった。

今でも屋台で30バーツで食べられるごはんは多いが、フードコートは50バーツや90バーツの食事が増えたりしている。そのぶん品質はもちろん上がっている。

味も多様性も安全性も。

きっと少し遅れてこれらはタイ人たちの給与額にも反映されるだろう。

対して日本はどうか。

どの産業を見ても低価格競争ばかり。

日本人の給与は下がり続ける一方だ。

そりゃあそうなのである。

だって日本人雇うよりタイ人雇った方が安いし、土地代だって日本よりぜんぜんかからないもん。

みんなそっちを使うでしょ。

そうすりゃいわゆる市場原理ってやつで人気者のほうが値段があがっていく。

人気が無ければ値段がさがっていく。

こういうことは別に日本とタイだけじゃなくて世界中で起こってる。

人も物も情報もあっというまに世界中に運べるようになってきた今、安い方に乗り換える障壁が低い。

そして最終的にはタイ人も日本人も同じ給料になる。

これがグローバリゼーションというものだろう。

これは人がグローバルかローカルかを言い争ってどうにかなるようなもんじゃなく、否応無くやってくるものだ。

だってみんな安い方を買うんだもの。

しょうがないじゃん。

もちろん日本人の教育レベルの高さや倫理観の高さはそう簡単にひっくり返るようなもんじゃない。

タイ人の教育レベルの問題はかなり難しい。

でもね、たとえば工場で決まり切ったことやるのにそんなに高い教育レベルが必要なんですか、ってことなんですよ。

別に工場労働を馬鹿にしてるわけじゃないよ。

でも君ら日本人はそんな教育レベルの低いタイ人たちが作ったもので満足してるじゃない。

紅ショウガなんてほとんどタイ産じゃないの?

発発展途上国で作ってるものいっぱいあるよね?

けっこうみんな買ってるよね?

冒頭で紹介した記事をはじめ、日本人の倫理観の高さや教育レベルの高さを絶賛するような記事はあちこちにあるけど、その分労働力としては値段が高くなってて、工場労働みたいな比較的単純な仕事は片っ端から外国に持ってかれてるわけでしょ。

じゃあグローバルじゃ勝てないのでローカルで、といったところで、その教育レベルの高さなりなんなりの値段分をペイできる仕事を作らなければ、結局負けちゃうじゃないの。

「いいんだ、負けてもいいからのんびりしたいんだ」

そんな声も聞こえて来る。

じゃあさ、君たち高度な倫理観と高い教育レベルを持つ日本人たちが外国で何をしてきたか、しているか、ちゃんと知っている?

最近一番腹の立ったことは、あるタイにいる日本人がこういう趣旨の発言をしたことだ。

「タイのもっともすばらしい価値は女だ」

自分が言われる側にならないとそれがいかに人を馬鹿にした発言かわからないだろうか。

日本人がかつて、そして今でもやってるように、強い国の人間は強い国に生まれたというだけで、悪びれもせずにこうして他国の人間や産業を馬鹿にするもんなんだよ。

日本がそう言われるようになった時、あなたがたのプライドはそれで耐えられるのですか?