2010.05.26
馳 星周
馳 星周の処女作「不夜城」です。
馳 星周の作品はすべて読んでいます。
「何故惹かれるのだろう」と思い、考えてみました。
馳 星周の作品はすべてが同じ法則で成り立っている。
主人公は必ず中途半端な人間、(「不夜城」では、中華系移民が支配する裏の歌舞伎町の世界に暮らす台湾と日本のハーフ)。
そして、中途半端な主人公がその中途半端な人生から抜け出そうと一発逆転の勝負に出るが、人間の闇の姿を見せ付けられ、自らも闇をさらけ出し、裏義り、裏切られ、破滅へとまっしぐら。という絶対的な法則の上に成り立っています。
そこに希望など当然無いし、学ぶべきことすら無いのかも知れない。
しかしそこには圧倒的な生々しさ、リアリティがある。
彼が目指したものは「文章はどこまで鮮明に描写できるのか?」ということだったのかも知れないし、「世界中に存在する闇に焦点をあて、問題定義する」ことだったかも知れない、「圧倒的な闇を描ききることで逆説的に、その先に光を照らすこと」だったのかも知れない。
そんなことは僕にはどうでも良いのである。彼の作品に教訓など求めていない。
リアリティを生み出す際に起こる化学反応、その強烈な渦に圧倒され巻き込まれたいだけである。
お勧めはしませんヨ。